【その担保は本当に大丈夫?】不動産担保で重要な指標”LTV”を見てみよう

ソーシャルレンディングでどのファンドに投資しようか迷ったとき、『担保付きの』物件に投資したくなることはありませんか?

例えば、『不動産付き担保』と書いてあるとちょっと安心感が生まれます。少なくとも、担保がないよりは安全性が高いと思えるからだと思います。しかし、

担保がついていれば何でも安全と言えるでしょうか?

その担保はいざというときに担保としての機能を果たしてくれるでしょうか?

その担保としての力を確認をするために重要な役目を果たすのが、今回記事にした『LTV』という指標です。このLTVについて知ると、単に担保付きだから安全かというと、実はそうでもないことがわかるかもしれません。

本記事では実際のファンドを例にLTVの意味について確認していき、担保についての理解を深めていきたいと思います。

 

※2018/05/05 追記:本記事で紹介している『例3:Lucky Bank(ラッキーバンク)の場合』に関しまして、行政処分を受けた旨を追加で記載しました。

 

 

そもそもの話。『担保』とは何か

一般的な意味で担保というのは、将来生じるかもしれない不利益によって、それを補うことを保証すること、または保証するもののことです。

”保証するもの”としては、不動産が扱われるケースが多いです。担保として差し出すものを抵当といいます。抵当を得る権利を抵当権といい、極度額(後述で説明)の範囲内において担保とすることを根抵当権といいます。ソーシャルレンディングの貸付には、この根抵当権がよく使われます。

担保として差し出すものには、不利益をカバーするために担保足りうる価値がないといけません。つまり、この価値が不動産として売った場合にいくらなのかということが重要です。800万円借りるなら、それ以上の価値の不動産(例えば1000万円)を担保とする必要があります。

ここで、借り入れるお金に対して、いくらの価値の不動産を担保だったら借りれるのか、という点がポイントです。ここでLTVという指標が登場します

 

LTVとは何か

LTVとは、Loan To Value (ローン・トゥ・バリュー)の略で、「借入比率」などとも言われています。この比率というのは、借入金額を資産(不動産等)の評価額で割ったもののことです。

例えば800万円借りる場合に評価額が1000万円の不動産担保である場合、

800万円 ÷ 1000万円 = 0.8

なので上記の場合にLTVは80%ということになります。

LTVの考え方

このLTVの数値の持つ意味ですが、この計算式の通りの解釈でいけば、LTVのパーセンテージが高くなるほど、借入金と不動産評価額の値が近いということです。

不動産評価額はその時評価した価格であるため、今後上がったり、下がったりする可能性があります。売却時に評価額が大幅に下がる場合、借入れたお金よりも下がってしまう(担保割れする)場合もあります。これはLTVが高いほど起こりうる可能性があります。そのため、担保権を発動することになった場合、LTVが高いものは比較的リスクがあると言われています。

対してLTVが低い場合、不動産評価額が大幅に下がった場合でもまだ余力がある可能性があるので、担保割れするリスクが低くなります。つまり、LTVが低いものは比較的安全と言えます。

つまり、1000万の不動産担保に対して500万を貸す場合と、900万円を貸す場合では、500万の方が担保的には安全というとらえ方がです。

 

LTVの計算例

LTVはローンファンドごとについている不動産毎に異なります。私が投資しているソーシャルレンディング事業者の範囲内で、いくつかサンプリングを行い、各ローンファンドのLTVに対する計算例を挙げてみていきたいと思います。

その前に:極度額について

LTVの計算の前に、”極度額”について触れます。極度額というのは、抵当権により担保することができる債権の合計額の限度のことです。これ以上、お金を貸すことはできません、と設定している額のことです。

ソーシャルレンディングのローンファンドを確認すると、大体担保とする物件の評価額に対して少し低い額を極度額としているようです。これは、物件評価額は可変的なものなので、評価額=極度額とすると、担保権発動の際に想定よりも低い売却額だった場合、返ってこなくなる債権が出てくる可能性があるためです。

評価額 > 極度額 ≧ 借入額

となります。

 

例1:OwnersBook(オーナーズブック)の場合

以下のファンドを例に説明します。

新宿区商業ル第1号ファンド第1回

新宿区商業ビル第1号ファンド第2回

※上記のファンド名をクリックすると、オーナーズブックのファンド詳細ページに飛びます。

対象のファンドは、2回に分けて募集を実施、それぞれ5000万円ずつの募集をしています(説明の便宜上、”貸付先1”だけに絞って話をします)。このファンドの極度額は10,000万円です。そのため、2回の募集をすることで借入可能な限度額を一杯まで借りていることになります。

オーナーズブックでは、担保物件の評価額に対して以下のような内訳を説明した図がついています。

上記をベースに、内訳を計算します。内訳は銀行のローンであるシニアローン(第一順位)、続いてオーナーズブックが融資する根抵当権第二順位のメザニンローンで構成されています。返済には優先度があり、シニアの方が先です。シニアローン(銀行側)から見たLTVというのは65%を設定しています。メザニンローンであるオーナーズブックの極度額比率は14.3%なので、足すと79.3%です。これが、LTVの数値になります。LTVの値は以下の計算式でも出ます。

(456,000,000 + 100,000,000) ÷ 701,000,000 × 100 = 79.3%

LTVが上述の場合、担保権を発動して物件の売却時に仮に20.7%(145,000,000円)の価値が下がっても、まだ担保割れはしないということです。上図から残り分を付け足したものが以下になります。

案件一覧から、オーナーズブックの他のファンドも見てみると傾向がわかるのですが、ほとんどがLTV80%以下であるファンドです。オーナーズブックは利回りを低く抑えリスク低減することに加え、担保においてもなるべく安全なものとするようにしているということが見えてきます。

 

例2:maneo(マネオ)の場合

以前、ノンリコースローンのことを記事にした際に取り上げた以下のファンドを例にします。

【不動産担保付】9周年記念ローンファンド49号(案件1:AN社、案件2:C社)

以下は、ファンド詳細の下方に掲載されているスキーム説明の抜粋です。

このファンドは、左側の桃色の枠内の記載で63億9千万円と評価された担保物件(2つの物件の合計)に対して、詳細は不明ですが既にローンが40億円かかっており優先劣後の関係があるようです。残額が23億9千万円です。この残額を価値余力として、maneoはその範囲内の極度額21億円とした貸付を行います。

更に、以下の一文

『※各募集につきましては、返済における優先劣後がございます。』

右側の緑の枠内で囲まれた図にあるように、maneo内でも段階的に募集をかけていて返済される1~6までの返済に関する優先順位があることを示します。LTVの計算をするにあたり先述したオーナーズブックの図式に合わせてみると、内訳は以下のようになります。

この例に挙げたファンドの場合、LTVが高くなるにつれて、利回りが高くなるという関係です。21億円(3億5千万×6)の募集額を全額融資した場合、第6順位については不動産の価格が5%以上減ると担保を割る形になってしまいます。第1順位と第6順位では、質権発動時のリスクが異なるので、利回りの差もそれだけ大きくなっているということです。

マネオの場合は、募集しているファンドの数もすごく多く、LTVの値は低いものから高いものまで様々あります。

 

例3:Lucky Bank(ラッキーバンク)の場合

※2018/05/05 追記:ラッキーバンクは同年2月に行政処分勧告が出され、業務改善命令が出ています。詳細は以下の記事に記載しています。

【ラッキーバンク】行政処分勧告のその後

 

ラッキーバンクでは、以下のファンドを例に見てみたいと思います。

【11/11募集】第372号ローンファンド 東京都台東区東上野×東京都中央区

以下はラッキーバンクに記載している図の引用です。このファンドで担保にしている不動産の構造は以下になります。

・根抵当権順位 :第一順位根抵当権設定
・弊社予定極度額:278,000,000円
・弊社予定融資額:210,000,000円
・弊社本募集金額:42,000,000円

この場合、LTVは極度額を借入額として計算すると95%です。かなり高い数値を示しています。

ラッキーバンクの不動産評価にかかる特徴として、地価相場の情報を掲載しています。これは案件詳細ページの下方にスクロールすると表示される情報です。

リンク先として記述してある土地価格相場が分かる土地代データには、過去年度の情報も掲載しており、ここ数年は上昇を続けている、ということがわかります。ラッキーバンクの担保は東京の中心地をメインとして、価値の上昇を説明している物件であることがほとんどです。

現時点でのLTVは高くても評価額以上で売却できる物件を担保としているという点での期待値が高いように見受けられますので、この点はLTVが高いことに対するリスクを低減しているように見えます(もちろん、予期せぬ不動産の地価急落などがないわけではないというのは、リスクとして説明されています)

 

LTVに関する例を挙げてみて

上述で、オーナーズブック、maneo、ラッキーバンクでの計算例を挙げてみましたが、それぞれ特徴がありました。また、他ソーシャルレンディング事業者でも不動産を担保とするファンドはありますし、それぞれいろんな特徴があると思います。LTVの計算は簡単なものですので、他事業者でもLTVの値がどのくらいなのか、といったことを都度確認をしてみると良いかもしれません。

また、単にLTVだけでなく他に付随して記載されている注意点や、その事業者独自で公開されている情報もありますので、そういったことも含めて特徴をつかみ、ファンドを選ぶ際の判断条件にしていけると良いかもしれません。

 

最後に

私は投資自体を初めてまだ間もなく、更にLTVという言葉は投資を始めてから知りました。ソーシャルレンディングの投資は元本保証されているものではありません。そのため安全性として、『担保ってどのくらい安全なのだろう?』というのを考えるのに色々と調べた結果、LTVは大事な判断要素なのだと捉えることができました。

ローンファンドを選ぶ際、返済が滞りそうなファンドはそもそも選びたくない、という考えは当然あるのですが、やはり公開されている情報の範囲ではどこに貸しているかもよくわからないので不安は残ります。そのため、貸付先の返済が万一滞っても別の手段でお金が返ってくる可能性の高いもの、つまり担保/保証が付いていて、尚且つ担保として持つ効果の強いものをなるべく選ぶようにした方が、安心できる方法だと思います。

 

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