【登録取消し】ラッキーバンクに対し二度目の行政処分

こんにちは。中年リール(@mez2fln)です。

先日、トラストレンディングで行政処分が下り、ソーシャルレンディングの第二種金融商品取引業の登録取消しとなったことは記憶として新しいことではあります。

その後を追うようにして、3月14日にラッキーバンクで2回目の行政処分が行われ、その内容は登録取り消し処分でした。

今回どういった問題が見つかり、ラッキーバンクはなぜ行政処分になったのかを解説します。




おさらい:ラッキーバンクのこれまでの経緯について

ラッキーバンクは株式会社ラッキーバンクインベストメントが運営するソーシャルレンディングサービスです。6-10%の高利回りであること、全案件不動産担保付き、というのが特徴でした。

2018年3月、株式会社ラッキーバンクインベストメントは行政処分を受けました(証券取引等監視委員会から検査を受けたのは2017年2月のことです)。

関東財務局:2018年3月2日 ラッキーバンク・インベストメント株式会社に対する行政処分について

①貸付先の大部分はラッキーバンクの代表取締役である田中翔平社長の親族が経営する会社(ウイングトラスト社)であり、借入金の返済が困難な状況が続きながら、ファンドの募集を継続し続けており、貸付先に対する適切な審査は行われていませんでした。また、②正式な不動産鑑定評価を行った上で作成されたものではない書類をファンド募集のページに掲載されていませんでした。

これら2点の問題に対して、『担保物件の評価及びについて誤解を生む』、『貸付先の審査について誤解を生む』という指摘があり、行政処分としては業務改善命令が下りました。

同年5月、大量のファンドが一斉に返済遅延が発生し、分配金の支払いの大部分が停止しました。返済遅延が発生したファンドの債権回収の方法として、当時ラッキーバンクからは不動産担保の任意売却が示されており、その任意売却による回収が行われるのを投資家は待っている、という状態でした。

しかし、担保の任意売却は進捗が思わしくありませんでした。

同年12月、ラッキーバンクからお知らせが届き、任意売却の進捗が芳しくないこと、その他売却手段としての競売は対応費用が捻出できなかった、といったことを主な理由に、サービサーへの債権譲渡を行い、最終的に、50億の貸付債権を16億円で譲渡しました。結果、68%の投資元本が毀損する、という強制的な幕引きとなりました。

その後、一部のラッキーバンク投資家による集団訴訟を開始した旨がニュースに流れました。

朝日新聞:ソーシャルレンディングで損害、集団提訴「虚偽の勧誘」

その流れを経て、今回新たに2度目の行政処分が発表されました。



関東財務局より行政処分。内容は登録取り消し。

3月14日、関東財務局より行政処分が発表されました。

関東財務局:2019/3/14 ラッキーバンク・インベストメント株式会社に対する行政処分について

これまでのソーシャルレンディング事業者の行政処分の流れでは、まずは証券取引等監視委員会による検査が行われ、問題点が見受けられた場合に行政処分勧告が出され、後日関東財務局で行政処分が発表される形になるのですが、今回は勧告無しでの行政処分となりました。
まずは処分内容ですが、こちらは『登録取り消し』および『業務改善命令』となりました。

引用:2019/3/14 ラッキーバンク・インベストメント株式会社に対する行政処分について

2.このため、本日、当社に対し、下記(1)については金融商品取引法第52条第1項の規定に基づき、下記(2)については同法第51条の規定に基づき、以下の行政処分を行った。

(1)登録取消し
 関東財務局長(金商)第2807号の登録を取り消す。

(2)業務改善命令
 1) 今回の行政処分の内容及び本件債権譲渡に至る経緯について、顧客に対し適切に説明を行うこと。
 2)未償還のファンドに係る顧客への償還・分配について、投資者保護に万全の措置を講ずること。また、その方針について、適切に説明を行うとともに、顧客からの問い合わせについては、適切かつ十分に対応すること。
 3) 投資者間の公平に配慮しつつ、適切な対応を行うなど、投資者保護に万全の措置を講ずること。
 4) 上記の対応・実施状況について、完了までの間、書面で随時報告すること。

登録取り消しはソーシャルレンディング事業者では2件目

先日記事にしましたが、1件目は『トラストレンディング』というソーシャルレンディングサービスを運営するエーアイトラスト株式会社が受けています。

エーアイトラストの処分が発表されたのが3月8日のことで、今回の発表は3月14日、かなりタイミングが近い発表でした。

今回の指摘事項は元本の回収における不適切な対応

以下は、行政処分内容の指摘事項抜粋です。参考としてまずは指摘に関する説明の全文を掲載しますが、非常にわかりにくい日本語で書かれています。後半で内容を説明します。

引用:2019/3/14 ラッキーバンク・インベストメント株式会社に対する行政処分について

1)当社は、本件貸付債権の債務者であるX社及びY社が、平成30年5月、本件貸付債権の全額につき債務不履行に陥った時期以降、両社に対し、本件貸付債権を被担保債権とする担保不動産(以下「本件担保不動産」という。)の任意売却の進捗状況を定期的に確認するだけで、本件貸付債権の回収に向けたそれ以上の取組みを行っていない。
2)当社は、同年10月、田中代表取締役の主導により本件債権譲渡の具体的な検討を開始しているところ、コンプライアンス部長から、債権譲渡に当たっては、当社の債権管理回収マニュアル上、本件担保不動産の競売による売却見込価額(以下「競売見込価額」という。)との比較検討が必要である旨の指摘を受けたため、X社が同年7月に不動産鑑定士から取得した、本件担保不動産に係る不動産鑑定評価書(以下「本件鑑定評価書」という。)を参考にするなどして、本件担保不動産に係る競売見込価額の評価を初めて行ったとしている。
また、当社は、本件担保不動産に係る競売見込価額の評価に際し、本件鑑定評価書において、商業用物件である建物及びその敷地(土地)の双方が共同担保となっている物件(以下「共同担保物件」という。)について、建物価値を考慮しない、更地としての評価(独立鑑定評価)がなされていることを踏まえ、当社が独自に公示地価等に基づき行った更地としての評価額(以下「更地評価額」という。)と、当社が独自に本件鑑定評価書中の想定賃料単価等に基づき行った収益評価額(以下「収益評価額」という。)とを単純平均した額に一定の率(競売時の下落見込み率)を掛けた上で、本件担保不動産(ただし、同年10月までに任意売却されたものを除く。以下同じ。)の競売見込価額につき、本件鑑定評価書で示された評価額の合計金額をさらに下回る約20億円と評価している。
このように、当社は、本件担保不動産の大半において、貸付先による任意売却が一向に進んでいない状況を認識しながら、同年10月になって、初めて本件担保不動産の競売見込価額の評価を行っているところ、当該評価に係る手法については、共同担保物件に関し、土地及び建物を対象とする収益評価額が、更地を対象とする更地評価額を常に上回っており、建物独自の価値が認められる状況において、上記のとおり、建物価値を考慮する収益評価額と建物価値を考慮しない更地評価額とを単純平均している点で、適切さを欠いているのみならず、その結果についても、合理的な根拠なく、ファンドの出資持分の取得勧誘時の「調査価格」を著しく下回っているなど、当社による本件担保不動産の競売見込価額の評価は、著しく杜撰なものとなっている。
3) 当社は、同年11月26日開催の当社取締役会(以下「本件取締役会」という。)において、本件債権譲渡を決議し、その際、田中代表取締役は、特別利害関係人として、本件債権譲渡の概要について説明している。
上記説明に際し、田中代表取締役は、本件担保不動産の買受けを検討していたZ社から、同月22日、本件貸付債権の買受けの申出(以下「本件買受申出」という。)があったことを認識していた。また、田中代表取締役は、本件取締役会において、監査役から「譲渡対象債権の現金化の方法として債権譲渡が適切であり、投資家利益にも資するとの条件が成立することを前提にすれば、現状において、いかに良い条件で、債権譲渡すべきかという部分に尽きるのではないか」との指摘を受けていた。さらに、田中代表取締役は、上記のとおり、当社における本件担保不動産の競売見込価額の評価額が約20億円となっていることを認識しており、16億円を超える買受金額の提示がZ社からなされる可能性があることを認識し得る状況にあった。
このような状況において、田中代表取締役は、本件取締役会において本件債権譲渡の概要を説明した際、本件買受申出について一切言及していないばかりか、「限られた当社の人員及び時間の中で、当時、債権譲渡候補先となっていた14社との交渉に最大限注力する必要があった」ことなどを理由に、Z社への買受金額の提示依頼等も行っていない。また、本件買受申出の存在を認識していた他の役職員においても、本件債権譲渡の実行に際し、Z社から16億円を超える買受金額の提示がある可能性も検討していない。
このように、当社は、本件買受申出に係る条件等を考慮することなく、本件債権譲渡を実行している。当社は、本件貸付債権に係る出資者に相当する匿名組合員(投資者)の利益の最大化に向けて、本件貸付債権の保全・回収に関し、金融商品取引業者として誠実かつ公正に業務を遂行する義務(営業者としての匿名組合契約約款に基づく善管注意義務)を負担していたものと認められるところ、上記1)から3)までに記載した当社の対応は、投資者保護を図る上で極めて不適切であり、「投資者保護に万全の措置を講ずること」などの本件業務改善命令を履行したものとは認められない。
また、本件業務改善命令の適切な履行の観点から、当社は、本件貸付債権の保全・回収の適正性について、投資者保護を考慮した検討・判断を行うべきであったところ、投資者への償還原資となる本件担保不動産の価値を適切に評価しないまま、杜撰な手続きで債権譲渡を実行しており、当社の業務運営態勢には、投資者保護に関して重大な問題が認められる。

行政処分における三つの指摘事項

ここからは前述の指摘に対する解説となります。

行政処分の指摘に書かれているのは大きく三つの問題があった、と書かれています。

1.任意売却の進捗状況を定期的に確認するだけで、債権回収に向けたそれ以上の取組みを行っていない

任意売却に関する指摘です。

引用:2019/3/14 ラッキーバンク・インベストメント株式会社に対する行政処分について

1)当社は、本件貸付債権の債務者であるX社及びY社が、平成30年5月、本件貸付債権の全額につき債務不履行に陥った時期以降、両社に対し、本件貸付債権を被担保債権とする担保不動産(以下「本件担保不動産」という。)の任意売却の進捗状況を定期的に確認するだけで、本件貸付債権の回収に向けたそれ以上の取組みを行っていない。

ラッキーバンクは任意売却による債権回収手段を提示していたのですが、ラッキーバンクのスタンスとしては貸付先によって担保が売却されるのをただ見守るだけ、というスタンスでした。貸付先からの報告を受け取って、その報告を投資家に公開する、というようなルーチンが続きました。
その報告も毎月のペースで発信がされていたのですが、非常にペースが遅く、何か月もかかって買い取り先を見つけて、結局購入には至らず、また振出しに戻るといったことが約半年程度続いていました。
任意売却が中々進まない、という状況においてラッキーバンクは打開策を講じることもなく、ただ待つことしかしていませんでした。
※ただし、すべて任意売却が行われなかったわけではなく、一部任意売却が行われた物件もあります。
結局、最終的には任意売却がうまくいかず、12月にサービサーへ債権譲渡という手段に至っています。ラッキーバンクの定期報告内容については、以下の過去記事でも紹介しています。




2.担保不動産の競売見込価額の評価が杜撰

競売に関する指摘です。
まず指摘内容に触れる前に、ラッキーバンクが競売を行った際の試算額については以下に記載されるように『19~20億』という回答が過去にありました。
過去メールより引用:2018/12/5 ※重要※ X社及びF社に対する債権回収方法について
なお、本年10月末時点の両社の全担保不動産について、弊社が試算した不動産競売による売却見込価額は、総額約19~20億円となりました。この金額は、弊社がファンドの募集時に評価し、公表していた不動産調査価格の約60億円の約3分の1となっておりますが、これは、一般的に、不動産調査価格は不動産の収益を考慮して価格を算出するものであるのに対し、不動産競売における売却の基準となる価格は、原則として不動産の収益を考慮せず、公示地価等の積算価格により算出するため、このようなかい離が生じたものです。
行政処分の指摘に戻りますが、大きく以下の2点が問題だったと指摘しています。
・任意売却が進んでいないのに競売の試算をし始めたのが10月頃だった(対応が遅い)。
・競売の試算方法が杜撰(ずさん)だった
競売の試算を始めたのが遅かったというのは、そのまま内容の通りです。競売の試算方法が杜撰だった、というのは行政処分の指摘事項における、以下の記載です。

引用:2019/3/14 ラッキーバンク・インベストメント株式会社に対する行政処分について

共同担保物件に関し、土地及び建物を対象とする収益評価額が、更地を対象とする更地評価額を常に上回っており、建物独自の価値が認められる状況において、上記のとおり、建物価値を考慮する収益評価額と建物価値を考慮しない更地評価額とを単純平均している点で、適切さを欠いているのみならず、その結果についても、合理的な根拠なく、ファンドの出資持分の取得勧誘時の「調査価格」を著しく下回っているなど、当社による本件担保不動産の競売見込価額の評価は、著しく杜撰なものとなっている。
何が書かれているかというと、対象の担保は土地と建物の両方が備わった”共同担保”という物件がありました。こちらの評価を行う際、ラッキーバンクは建物の価値を考慮に含めず、更地(土地)としての評価を行った金額を算出の際に含めていました。
建物価値を考慮すれば更地よりも価値があるのですが、試算の際、建物を考慮した収益評価額と更地の評価額を単純平均しており、こちらを不適切で合理的な根拠が無い、という指摘を、金融庁はしています。
つまり、投資家に対する説明にあった『19億~20億』という競売時の試算額は、金融庁からすると不適切で合理的な根拠もない金額だった、ということです。

3.債権譲渡候補14社以外に買受申し出があったにも関わらずスルーしていた

債権譲渡に関する指摘です。
まず、ラッキーバンクの当時の債権譲渡の候補先を絞る経緯に至った報告内容について、少し説明をします。
過去メールより引用:2018/12/5 ※重要※ X社及びF社に対する債権回収方法について
上記の結果、本年11月22日までに接触した債権譲渡候補先は14社となり、5社からは入札を受け、6社は見送り、2社からは検討可能との返答を先方から受け、1社は弊社から謝絶いたしました。
~中略~
従って、本来は、不動産競売や、債権譲渡をする場合であっても、より広く譲渡候補先を募るなど、より透明性の高い手続きを経ることが妥当ではありますが、弊社の財務状況に鑑み、速やかに債権回収方針を決定する必要があるため、当該期日時点で入札のあった5社から債権譲渡先を決定することとし、最高入札者である下記D社に対する譲渡を、弊社臨時取締役会にて決議したものです。なお、各入札者の入札金額は以下のとおりです。
A社・・・14.6億円
B社・・・15.2億円
C社・・・14.3億円
D社・・・16億円
E社・・・14.2億円
ラッキーバンクの債権譲渡の候補先として14社が上がっていました。その内、5社からの入札を受け、その5社内で一番金額が高かった譲渡価格16億円を提示した会社(D社)に最終的に決着しました。
今回の行政処分で明らかになったのは、候補先14社以外にも買受を申し出たZ社という企業がいた、ということです。そして、ラッキーバンクインベストメントの田中社長は、その申出をスルーしており、Z社の買受金額がいくらなのかも、確認・検討をしていませんでした。

引用:2019/3/14 ラッキーバンク・インベストメント株式会社に対する行政処分について

田中代表取締役は、本件取締役会において本件債権譲渡の概要を説明した際、本件買受申出について一切言及していないばかりか、「限られた当社の人員及び時間の中で、当時、債権譲渡候補先となっていた14社との交渉に最大限注力する必要があった」ことなどを理由に、Z社への買受金額の提示依頼等も行っていない。また、本件買受申出の存在を認識していた他の役職員においても、本件債権譲渡の実行に際し、Z社から16億円を超える買受金額の提示がある可能性も検討していない。
もし、このZ社に買受金額がいくらなかのか確認をしていたら、16億を超える可能性があったかもしれないのに、Z社の存在を認識していながら、検討を行わなかった、という指摘です。




まとめ

まとめると以下のような指摘3点がありました。

  1. 任意売却の進捗状況を定期的に確認するだけで、債権の回収に向けたそれ以上の取組みを行っていなかった
  2. 担保不動産の競売見込価額の評価が杜撰(ずさん)だった
  3. 債権譲渡候補14社以外にも買受の申し出があったにも関わらずスルーしていた

債権譲渡に至った経緯(任意売却、競売)も問題があり、債権譲渡を検討する過程でも問題があったということです。

関東財務局からは、1回目の行政処分で「投資者保護に万全の措置を講ずること」という改善命令を出していました。

しかし、上記の問題点からそれを行っているようには見えないという判断をしています。

引用:2019/3/14 ラッキーバンク・インベストメント株式会社に対する行政処分について

業務改善命令を履行したものとは認められない

そのためラッキーバンクインベストメントは登録取り消し処分となりました。




行政処分に対するラッキーバンク側のお知らせ

行政処分が出た同日、ラッキーバンクの公式HPでは行政処分に関してお知らせが出されました。

ラッキーバンク:2019/3/14 当社に対する行政処分について

非常にシンプルな内容となっています。

おわりに

今回の処分内容から新たな情報を得られて、ラッキーバンクの対応は悪質なものだったと、再認識をすることができました。

登録取り消しはトラストレンディングに続き、これで二件目。これまでの処分というと、業務改善か、業務停止が主でしたが、他の業者も不適切な対応が見受けられるようなら、今後もどんどん登録取消しにする、ということでしょうか。

これはお役所対応に関する感想ですが、ラッキーバンクが債権譲渡を行った後で、今頃こんな処分を下して何の意味があるのか、という気分でした(未償還ファンドがいくらかあるということなので、その分には効果を発揮してくれるかもしれないのと、今後行われるであろう集団訴訟等には有利に働くかもしれませんが)。登録取り消しされてしかるべきだとは思いますが。

同じような残念な気分になったのが去年の1回目の行政処分(2018年3月)のことで、ラッキーバンクが証券取引等監視委員会による検査を受けたのが行政処分勧告を出す1年前(2017年2月)。もし1年間も開けずに処分を下していれば、そもそも被害が拡大しなかった可能性もあるのですが、、、と、色々積もる話もあるのですが、長くなってきたので本記事は一旦これで終わります。

 

また何かあれば、記事等にまとめたいと思います。


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