ソーシャルレンディングで見かける用語『ノンリコースローン』とは?

ソーシャルレンディング(主にmaneo)のローンファンドでたまに見かける『ノンリコースローン』という言葉があります。あまり聞きなれないかもしれませんが、これはどういうローンなのでしょうか。また、ソーシャルレンディングにおいて、どのような意味合いがあるのでしょうか、本記事ではこの『ノンリコースローン』にフォーカスし、理解していきたいと思います。

 

 

記事を書こうと思ったきっかけ

例えばmaneoの例ですが、以下のローンファンドで募集しているように、ローンファンド詳細に『ノンリコースローン』というキーワードがあります。

 

【不動産担保付】9周年記念ローンファンド49号(案件1:AN社、案件2:C社)

maneo社と事業者ANの本融資契約は「責任財産限定特約付」融資(ノンリコースローン)の取扱いとして対応します。
事業者ANがmaneo社に返済できなくなった場合でも、事業者ANの保有する他の財産に対する強制執行はできません。

 

上記は『このローンにすることによって生じるリスクを理解しておいてほしい』という、manaoサイドのメッセージと見えます。つまり、投資家サイドとしては適切に理解しておかないといけないことです

 

ノンリコースローンとは?

主に不動産担保で融資を受けるローンタイプの一種

その他の担保もあるようですが、担保というと不動産が多いようです。以下のように、maneoで募集しているローンファンドの件名には、”不動産担保付”と書かれています。ノンリコースローンで取り扱う担保となる不動産です。

【不動産担保付】9周年記念ローンファンド49号(案件1:AN社、案件2:C社)

 

別名『責任財産限定特約付ローン』という

ノンリコースローンのことを、『責任財産限定特約付ローン』あるいは『責任財産限定型ローン』といいます。返済にあたり強制執行の対象となる財産を”責任財産”といいます。『責任財産限定特約』というのは、責任財産の範囲に限定を加えた貸付方法のことです。もう少し噛み砕くと、責任財産を何に限定するかを決め、その範囲を超えての返済義務を負わない、ということです。

 

ノンリコースローンの担保の特徴は?

ノンリコースローンの不動産担保付ファンドの特徴として、貸付の際に以下の条件がつきます。

 担保にした不動産以外での返済義務は発生しない

これは、貸付先が事業に失敗した場合など何らかの理由により、お金が返せなくなった場合でも、担保以上の額を返さなくてもいい、という意味です。

 

リコースローンというものもある

ノンリコースローン(Non Recourse Loan)に対して、リコースローン(Recourse Loan)という言葉もあります。リコースローンというのは、日本語にすると『遡及型ローン』というものです、

『遡及』という言葉の意味は『さかのぼって過去の事まで効力を及ぼすこと。』です。ノンリコースだとその反対なので『非遡及』となります。『さかのぼって過去の事まで効力を及ぼすこと”はしない”』となります。

ノンリコースローンだと担保以上に返済する必要はないのですが、リコースローンの場合は担保物件で全額返済できない場合、その差額の残債も返済義務が残っているので返さないといけません。国内の一般的な借金の性質(借りたお金は全額返す)というのは、リコースローンが大部分だと思います。

 

ノンリコースローンのリスク

かなり極端な例

仮に、1億円を貸し付けする場合に担保として預かった不動産物件が評価額1億2000万の不動産物件だとして、この物件をノンリコースローンで取り扱うものとします。

更に、借り手の事業に失敗して貸し付けた1億円が返せなくなったとします。その際、担保としている物件をもとに返済をしようと試みるのですが、ここで不動産価値が落ちたとして売却額が8000万にしかならなかったとします。1億円には後2000万円足りません。いわゆる担保割れの状態です。

ノンリコースローンの場合だと、担保と設定した不動産以外には返済義務がないので、仮に2000万円足りてなくても、あとは返さなくてもいいことになります。

こうなった場合、回収不能になる=貸し倒れということです。

 

ノンリコースローンの担保はどういう時に危なくなるのか

ノンリコースローンで不動産担保付の場合、基本的に担保余力のある物件に対して担保を設定しているので、担保としての価値はあるはずですが、どういう時にこのノンリコースローンのリスクに触れてしまうかというと、例えば以下の点です。

・担保にしている不動産物件の価値が大幅に下がった
・担保にしている不動産物件が何等かで価値を喪失した

この原因は、様々あります。不動産バブルの崩壊、自然災害による建物の倒壊、人口の減少などです。ローンファンドの運用期間が長い場合、上記のリスクが長期間付きまとうことになります。

 

改めてmaneoのファンド詳細を見返してみる1(担保ありの例)

【不動産担保付】9周年記念ローンファンド49号(案件1:AN社、案件2:C社)』のファンドを例に、見ていきます。以下は要点の抜粋になりますので、ファンドの図説や全文は上記のリンク(maneoの案件ページに飛びます。)から確認してください。

投資スキーム

前提として、maneoと貸付先とは以下のような関係にあります。不動産は事業者DR所有のものです。

maneo社では融資に際し、担保としてSPCへの出資に質権を設定しています。

ここで、”SPC”という言葉が出てきます。SPCというのは、Special Purpose Companyの略で、”特別目的会社”という意味です。資金調達を目的として設立された法人です。担保となっている資産を切り離すために、SPCが資産を所有するという手続きが行われます。これは、万が一企業(この場合事業者AN)が倒産をする事態になったとしても、会社の抱えている担保物件についてはSPCが持っている、ということにするためのものです。

 

案件詳細に記載している内容を確認する

以下、案件詳細に記載内容の抜粋です。

maneo社では融資に際し、担保としてSPCへの出資に質権を設定いたします。返済については、事業者DRの事業者ANに対する配当を原資としておこなわれます。

上記は、『返済を質権(不動産担保)』と『事業者DRの事業者ANに対する配当』に限定しているという意味です。

maneo社と事業者ANの本融資契約は「責任財産限定特約付」融資(ノンリコースローン)の取扱いとして対応します。事業者ANがmaneo社に返済できなくなった場合でも、事業者ANの保有する他の財産に対する強制執行はできません。

上記は、ノンリコースローンの性質そのものに関する説明をしています。上述で限定しているもの(不動産担保と配当)以外からは返済義務はないことを言っています。

流れとしては、事業者DRの事業者ANに対する配当を出せなかった場合、maneoは不動産の質権があるため、対象不動産を売却して返済をします。万一、不動産を売却しても貸付額に達しない場合は、その差額が貸し倒れになります。

 

担保にはリスクを被る順番がある

貸し倒れのリスクを誰が受けるのか、については更に順番があります。案件詳細ページの説明スキームの図の一番右側にあるmaneoの列に、募集順位が掲載してあります。

説明書きには『例:本物件の売却代金が61億円未満だった場合、第6順位から元本が毀損していく可能性がございます。』とあります。この、担保割れが発生した場合、順位の高い方から優先的に返済します。そのため、上記画像でいう、順位の低いものはリスクがあります

maneoのローンファンドでは、『9周年記念ローンファンドxx号』という形で、分割して募集しているので、この順位が高いのか、低いのかは都度確認した方がよいと思われます。順位が低いものについては、担保の力が弱くなる(リスクが高くなる)ので、ローンファンドとしても利回りが高めになるように設定されています

※2017/11/11追記:不動産担保の安全性については、”LTV”という視点が関わってきます。以下の記事にLTVに関して記載していますので、よろしければこちらもご確認ください。

【その担保は本当に大丈夫?】不動産担保で重要な指標”LTV”を見てみよう

 

改めてmaneoのファンド詳細を見返してみる2(担保なしの例)

担保なしの場合のノンリコースローンについて、『事業性資金支援ローンファンド404号(案件1:C社、案件2:AN社)』のファンドを例に、見ていきます。ファンドの図説や全文は上記のリンク(maneoの案件ページに飛びます。)から確認してください。

投資スキームと説明

◆保全
事業者Cは、事業者AZに対する融資に際し、約束手形の受け入れを行います。

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なお、maneo社と事業者Cの融資契約は「責任財産限定特約付」融資 (ノンリコースローン)
の取扱いとして対応します。事業者Cの返済原資は、事業者Cを貸付人・事業者AZを借入人とする本件貸付債権に限定され、事業者Cがmaneo社に返済できなくなった場合でも、事業者Cの保有する他の財産に対する強制執行はできません。
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上記の場合、ノンリコースローンとしては『事業者AZの事業者Cに対する返済』に限定しています。AZの返済以外でお金を返してくる手段はありませんので、仮に事業者AZが返済できなかった or 返済しなかった場合にmaneo側は貸倒れになることになります。

ただし、ちゃんと返済をしてくれるかがこれだと心配です。なので、返済確度を上げるための対策として事業者Cは事業者AZから約束手形を受け入れる、ということで保全(安全であるようにする)しています。

約束手形は支払期日までに返済が無いと『不渡り』という扱いになり、最悪の場合、銀行取引停止や営業活動停止となってしまうことになります。ここでいう約束手形には、事業者AZにとって返済に対するプレッシャー的意味合いのあるものになります。

”担保あり”の場合は別の手段(不動産売却)によって仮に返済が滞ってもお金が戻ってくるようになっていました。一方、担保なしの場合は、正しく返済されることに期待するしかありません。これがノンリコースローンにおける、”担保あり”と”担保なし”の違いです。そしてリスクの違いでもあります。

 

そもそも何故ノンリコースローンというものがあるのか?

一見すると、ノンリコースローンは借り手にメリットがあり、貸し手側はリスクがあるので、リコースローンの方がリスクが少なくて良いような気がします。このノンリコースローンというのは、どういった存在理由があるのかというと、wikipediaに記載がありました。

企業が新規事業や新工場の立ち上げなど多額の投資を行うことで、仮に当該投資が失敗に終わった場合、投資とは関係のない従来の本業まで影響を受け、最悪の場合、倒産という事態を招来する可能性すらある。このように、新規投資が企業の命運すら左右するほどのリスクがあるのでは、企業は新規投資を躊躇せざるを得ない。かかる状態は国民経済上も不利益であり、投資リスクを限定するためのスキームが必要となる。

上記によると、ノンリコースローンというのは、失敗してもリスクが限定される、つまり企業にお金を借りやすくさせるためのローンということです。

 

ソーシャルレンディングにおけるノンリコースローンの位置づけ

借り手側にとってはノンリコースローンの方がリスクが少ないのですが、一方で貸し手側(ソーシャルレンディング事業者)にとっては貸したお金が返ってこないリスクがあります。

リスクがある分、審査が厳しくなります。また、リスクに見合った収益を得るために金利を高めに設定する(=貸し手側にとってのリターンが大きい)ということをします。

これをソーシャルレンディングのビジネスとして捉えると、ノンリコースローンにすることで高い利回りでの契約を行い、ソーシャルレンディング事業者は利益を得ることができるようになっています。また、利回りが高い分、投資家サイドにも高い利回りのローンファンドで募集をかけ、資金を集めることができるようになっています。

上述の、審査が厳しいこと、リスク見合いの金利設定、その他融資条件について検討する点は、貸し手側の判断能力が試されることになるため、ノンリコースローンを取り扱う銀行は限られています。一方でソーシャルレンディングではリスクを受けつつ、盛んにノンリコースローンでの融資を取り入れられてきているため、ここで銀行との差別化が進んでいるようです。

ノンリコースローンという単語はソーシャルレンディングの専門用語というわけではなく、広くは不動産投資で使われる言葉ですが、上記のようなビジネスモデル・商品化して活用されるケースが昨今多くなっているので、ソーシャルレンディング業界でもよく登場する用語となっています。

 

まとめ

 

  • ノンリコースローンとは主に不動産担保で融資を受けるローンタイプの一種である。
  • 担保にした不動産以外での返済義務は発生しない
  • 担保物件のの価値低下の場合に回収ができなくなるリスクがある
  • maneoの場合、募集を段階的に分けており、返済順位が高いファンドが担保力が高い
  • 貸し手側にリスクがあるので審査が厳しい
  • ソーシャルレンディングではノンリコースローンの担保とすることで、高い利回りのローンファンドを実現している。

ということになります。

 

最後に

本記事では、主にリコースローンとノンリコースローンを比較し、リコースローンのリスクについて捉え、リコースローンとは何かについてフォーカスしました。また、ソーシャルレンディングとしては、maneoのローンファンドを例にどういったことが書いているのかを租借してみました。

ノンリコースローンというのはソーシャルレンディングでは多用されている手段です。ファンドの募集内容をよく読み、その性質を理解し、今後投資を行っていく場合にもきちんとリスクを理解した上で、投資をしていきたいものだと思います。

 

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